課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 そのとき、真湖のスマホが鳴った。

「あ、浩ちゃんだ」
と言うと、

「誰? 浩ちゃんって」
と訊いてくる。

「幼なじみで、浩太郎って言うんですよ」
と言いながら、スマホに出ようとすると、羽村がそれを取った。

「もしもし、真湖りんは今、忙しいから出られませんよー」

「羽村さんっ」

 もう〜っ、と慌てて取り返したが、スマホの向こうで、浩太郎は既に叫んでいた。

『誰、今の男っ!
 羽村って誰っ?

 課長じゃないじゃん!

 真湖っ、なにやってんだよ、お前っ。
 おばさんに言いつけるぞっ』

 幼なじみって嫌な最終兵器を出してくるなー、と思いながら、慌てて弁解しに電話に出た。

「もしもし、浩ちゃんっ」

 羽村を睨んでみたが、素知らぬ顔をして、パックの珈琲を飲んでいる。