課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「羽村さん」
「なに?」

「羽村さん、今、決まった相手の方、いらっしゃらないんですか?」

 それを聞いた羽村は、あのねえ、という顔をする。

「此処数日、僕の話をなんと聞いてたの、真湖りん」

「三上さんが気に食わない、という話しか聞いてませんが」

「全部それに変換しちゃったわけ?」
と羽村は眉をひそめる。

「三上のことと、君のことは、関係ないとは言わないけど、ほぼ関係ないよ。

 言ったじゃない。
 僕は前から君が気になってたんだって。

 声をかけようと決心したのは、課長のことと、三上のことが原因だけど。

 君に、僕と付き合わない? って言ってるのに、誰か決まった方が居たら、大問題でしょう」

 まあ、そうなんですけど。

 私を好きというところが、いまいち信じられないんですよね、と思っていた。

「で?
 決まった人が居なかったら、なんなの?」
と窓にすがり、訊いてくる。

「いえ、羽村さんに訊いてくれと言われたので」

「誰に?」

「同期の清水礼子です」

「あー、礼子ちゃんね。
 美人だよね」
とは言うわりには機嫌が悪い。