課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜





 うーん、と真湖は会社のトイレの鏡の前で、おのれの顔を見ながら、眉をひそめていた。

 こういうの、よくないと思うんだよなー。
 結婚前だし。

 礼子が聞いたら、あんた、なに時代の人間? とか言い出しそうだな、と思っていると、トイレから礼子が出て来た。

 そして、予想通りの台詞を吐く。

「はあ?
 なに言ってんの、あんた、なに時代の人間?」

 言うと思ったよ、と思いながら、
「でも、その言い方はおかしいよ。
 昔の人の方が結婚も早かったし。

 夜這の習慣もあったし」
と言うと、

「……あんた、言うことが課長化してきてるわよ」
と言われてしまった。

 いかんいかん。
 無意識のうちに、影響を受けているようだ、と思う。

 そこで礼子は真湖の手を取り、
「そういえば、婚約指輪とかしないの?」
と訊いてきた。

「んー、日曜に買いに行こうって課長が」
と言うと、

「いいなあ」
と言い出す。