課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「すっ、すみません。
 あの、成り行きでなんとなく。

 よくご存知ですね。
 昨日、急にそういう話になったのに」

 社内に響子のお庭番でも居るのかと思ったが、そうではなく、堀田の店で、たまたま常務と一緒になって、聞いたのだと言う。

『いきなり、おめでとうございます、とか言われてびっくりしたわよー』

「はあ、すみません」

 響子に隠すのもな、と思い、真湖りん事件を洗いざらい話してみた。

 ソファのところに立つ雅喜が、あっ、こらっ、という顔をしている。

 常務から聞いていただろうか、と思ったのだが、さすが、常務はそんな余計なことは言わなかったらしく、響子はひたすらウケていた。

『いやだ、聞きたかったわっ。
 あの雅喜が、会社で真湖りんだなんてっ。

 真湖さん、貴女、凄いわねえ』

 ほほほほほって感じで笑われたが、いや、あの、お義母さん、私が言わせたわけじゃありませんから、と思う。

『で、貴女、指輪は買ったの? 指輪は』

「えっ。
 いえ、まだですが」

『雅喜には今言ったんだけど、指輪、うちにあるわよ』

 えっ、と雅喜を振り返ると、罰の悪そうな顔をしていた。