課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 しかも、本当になんの悪気もなく。

 もっともタチの悪いのは、ああいうタイプかもな、と思った。

 周りが振り回される。
 悪気がないだけに、責められもしないし。

「そういえば、ひとつ、疑問なんですが。

 貴方も三上さんも、花田さんもたまに人前で、真湖りんって呼んでるんですけど。

 これはなにも騒ぎにならないのは何故でしょう」

「呼んで違和感がないからじゃない?

 三上がもし、課長の立場だったら、社長の前だったとしても、真湖りんって呼んでも、ふざけて呼んでるんだなって思われただけだろうけど。

 でも、五嶋課長だと、場がフリーズするよね。

 なにかない限り、とてもじゃないけど、呼びそうにもないから」

 ああ、確かにフリーズしていたな、と思い出す。

 私もフリーズしてたしな……。

 羽村は腕を組み、そんなことより、と言ってくる。

「今日の真湖りんは気に食わないな」

「え。
 なんでですか?」

「なんか余裕があるっていうか。
 楽しそうっていうか。

 昨日とは偉い違いじゃない。

 課長となんかあった?」
と言われ、えっ、とつまる。

 つい、赤くなってしまった。