課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 ふんっ、だ、とタブレットをラグに投げて、ソファで肘掛を枕に丸くなる。

「何故、好きかどうかわからない」
と真湖の居るソファに手をかけ、雅喜は訊いてきた。

「俺と居て、なんとも思わないのか」

 ドキドキとかしないのか、と問われ、
「……しますね」
と一瞬の間のあと、そういえば、と思い、答える。

「キスしても、いつも逃げないし」
「酔ってたからですよ」

「今日は俺もお前も酔ってなかったぞ」

 いや、それを言うなら、貴方も今日は酔ってもいないのに、何故、キスしたりしましたか、と思っていた。

 婚約するために結婚しようとしてたから?

 だが、そういえば、この前から、雅喜の方は酔っていなかった気がするのだが。

「もういい加減覚悟を決めろ」
と仕事で叱っているときのような口調で、雅喜に言われる。

 そのとき、テーブルに置いていた真湖のスマホが鳴った。

 雅喜は、そちらをチラと見て、
「携帯も切れ」
と言ってきた。

 真湖は起き上がり、スマホに手を伸ばしかけてやめた。

「課長」
と雅喜を見つめる。

「なんで私にばかり訊くんですか。
 課長は覚悟を決めないんですか」