課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「羽村とどっちが良かったか?」

 急に雅喜はそんなことを言い出した。

「なに大真面目な顔で訊いてくるんですか」
と真湖は赤くなる。

「私は課長は、そういうことするのに、慣れて欲しくないんです」
ときっぱり言うと、雅喜は一拍置いて、は? という顔をした。

「だ、だって、今だって、ちょっと慣れてる感じがして嫌なんですよ。

 夜景見せてキスとか。
 すごい流れがスムーズっていうか。

 だから、つい、そのまま……」

 逃げもせず、受けてしまった、と思う。

 仕事でスマートに動ける人なのは知っているが、こういうことには多少、不器用であって欲しいと願っていた。

 礼子が聞いたら、はあ? なに言ってんの。何処までもスマートがいいに決まってるでしょ、と言い出すに違いないのだが。

「別に慣れてない。
 お前が慣れてなさ過ぎなだけだ」
と言ったあとで、ちょっと考え、そうだな、と言う。

「俺もお前が慣れてたら、ちょっと嫌かな」