課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「……お前、俺が好きなのか?」
と何度目かな気がするその問いが自分に向いた。

「ええっ。
 なんてこと言うんですか、わからないですよっ」
と堂々と真湖は宣言する。

 スマホを切り、溜息をついた。

「課長。
 婚約するって、意外と難しいことなんですね」
と弱音を吐くと、

「俺たちにとってはな」
と言ってくる。

 そりゃ、お互い、相手が好きかどうかもわからないまま、此処まで来てしまったわけだからな、と思った。

 結婚は縁とタイミングとは言うものの。

 婚約したいから、結婚するというのは、ちょっとおかしくないだろうか? と思っていたら、雅喜が言ってきた。

「よくわからないが、指輪を買ってやる。
 それをつけて、会社に行け。

 それで、社内的にはなんとか治まるだろう」

「そうですか、すみません。
 では、私も指輪代、出します」
と言うと、阿呆か、と言われた。

 そのとき気づいた。

「あれっ? 課長、道が違いませんか?」