課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「いや、一人しか多くないじゃないですか。
 っていうか、いいじゃないですかー。
 婚約もしたのにー」
と多少甘えて言ってみたが、

「まだしてない」
と突き放される。

 そこで、ふと疑問に思い、
「そういえば、いつ婚約するんですか?」
と訊くと、雅喜はつまった。

「そもそも、婚約ってどうやってするんですか?」

「俺が知るか。
 したこともないのに」

 そうですよねえ、と真湖は困る。

「許嫁、とかならわかりますが、婚約者ってどうやってなるんでしょうね。

 ……婚約って、なんなんですかね?」

 人生とはなんなんですかね、みたいな感じに訊いてしまったが。

 別に哲学的な意味合いで訊いているわけではない。

「俺も知らん。
 ネットで調べろ」

 なにか間抜けな会話だな、と思いながら、真湖はスマホで調べ始めた。

「うーん。
 一般的には、結納したら、婚約ってことなんですかね?」

「結納?
 結婚が決まらないと結納できないだろう」

「ですよね。
 ああ、結婚するのなら、課長、まず、プロポーズしてくれないと」
と言うと、車が多少、蛇行した。

 真湖はそのまま、ネットで調べ続ける。