課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 



 真湖に連れられ、三上は階段のところまで行く。

 健康を気遣って歩く人が、まれに居るくらいで、お昼休みなどのエレベーターが混む時間以外は、人気がない。

「あのですね、三上さん。
 ちょっと失礼なうえに、勝手なお願いなんですが。

 その、羽村さんと仲直りしていただけないでしょうか」

「え、やだ」

 即行言うと、真湖は、一瞬の間のあと、
「……え、やだ?」
と訊き返してくる。

 おそらく、仲直り案に乗りたがらないのは、羽村の方だけだと思っていたのだろう。

「いやまあ、わざわざ仲直りしなきゃいけないほど、喧嘩してないけどね。

 表向きは」

 三上さん……と真湖は困った顔をする。

「羽村が俺に対して怒ってるのは知ってるよ。
 でも、俺の方も言いたいことがあるんだ。

 話を振ってくれれば、いつでも言うのに。

 羽村は、なにも口に出さずに、ただ怒ってる」

 とりあえず、怒りを吐き出したが、真湖がまずい話をしちゃったかな、という顔をしていたので、多少、申し訳なく思い、少し話を変えてみた。

「で、どうしたの?
 俺と羽村が喧嘩してるとまずいことでもあるの?」