呼ばれて、廊下に行くと、窓際で雅喜が言う。
「社内恋愛は駄目とは言わないが、なにかこう、ケジメ的なものをつけろと言われた」
お前は俺の部下だから、と言う。
これって、社内恋愛なんですか? という突っ込みは、今は入れられそうになかった。
「ケジメ……?」
って、なに?
「……指をつめろとか?」
どんな会社だ、と言われる。
「もしかして、私の方がやめろとか?」
部下とというのがあまりよくないと言うのなら、と思って訊くと、
「そこまで言うわけないだろ。
沢田」
と呼びかけてくる。
「はい」
「俺と婚約しろ」
「……付き合ってもないのに?」
と言うと、渋い顔をする。
「ともかく、今は事態を治めたいんだ。
俺と婚約してくれ。
将来に続く、きちんとした関係であれば、特に問題はないようなことを言っていたから」
「でも、課長……」
と言いかけると、両肩に手を置かれる。
「真湖……沢田」
今、真湖りんって呼ぼうとしましたね。



