課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「じゃ、家に行ったときは?」

「行ったきり帰ってないんでしょうが」
とつれなく礼子が言う。

「ほんと、あんたって、変なところで水臭いんだから」

 いや、礼ちゃんにしゃべらなかったのは、悪かったけど。

 礼ちゃんが簡単にしゃべっちゃいそうだからじゃん。

 っていうか、今、此処で全員に向かって言うことではないと思うんだが……と思っていたが、なにも言えなかった。

「でもさー、別にいいと思うんですよね」
と後輩が言い出す。

「課長も真湖さんも独身じゃないですか。
 普通、課長って言ったら、もう家族も居る年齢の人が多いから、女子社員ととか問題あるかもしれないけど」

「っていうか、真湖りん以上に衝撃的だったのは、課長も、赤くなったり、青くなったりすることがあるんですねってとこですけどねーっ」

 そりゃ、あれでも人間だからな。

「意外と、真湖りんとか真湖たん、膝枕してとか甘えてそうですね」
と誰かが言い、どっと笑う。

 ……遠慮したい、そんな男は、と思っていると、こちらを見、
「あら、誰でもそんなもんですよ」
とその子が言ってくる。

「私、昔、二十上の人と付き合ったことあるんですけどね」

 ええっ? とみんなが彼女振り向いた。