次の日、雅喜は、いつものように、バリバリ仕事をしていた。 その様子を、たまたま総務に来ていた社長も微笑ましげに眺めていた。 しかし、仕事を始めると、この世に自分と書類しかなくなる雅喜は、社長も周りの人間も、真湖でさえも、目には入っていなかったのだと思う。 だから、言ってしまったのだ。 雅喜は、なにかを書きながら、大真面目な顔で、真湖にコピーを頼もうと顔を上げないまま、呼びかけた。 「真湖りん」 ……沈黙が訪れた。