「課長」
と呼ばれて、ロビーに居た雅喜が振り向くと、三上が立っていた。
「真湖りん、知りませんか?」
……真湖りん、知りませんかってなんだ。
せめて、沢田さんと言わないか、と渋い顔をしながらも、
「さあ、見ないが」
と言うと、
「それが、羽村も居ないんですよ。
あいつ、手が早いから、ちょっと心配になって」
と言ってくる。
いや、手が早いのはお前だ……と思いながら、
「三上、今朝の電話はなんだ」
と言うと、
「あ、すみません。
なんか急に真湖りんと話したくなって。
でも、大丈夫です。
課長との仲を邪魔しようって言うんじゃないですから」
と人懐こい笑顔で言ってきた。
「じゃ、羽村探した方がいいですよ」
と言って三上は行ってしまう。
横に居た花田を見て言った。
「なあ、あれ、どうしたらいいと思う?」
悪意もないだけに、なにか叱りづらい。
自動販売機の珈琲を飲みかけていた花田が、ぶは、と吹いて笑った。



