「真湖りん、真湖りん。
此処空いてるよ」
お昼にみんなで社食に行くと、トレーを手にしてた真湖を三上が呼ぶ。
「あ、三上さん。
こんにちはー」
と礼子たちが、三上のところに行ってしまう。
三上の友達も、
「やあやあ、美女軍団に来てもらって嬉しいなあ」
などと調子のいいことを言い出したので、みんなそこに座ってしまった。
……どうしたら? と思っていると、背後から凍てつくような視線を感じた。
窓際の席から、雅喜と花田がこちらを見ていた。
雅喜より、花田の視線が怖い。
『坊っちゃま、あの女、他の男のところに座ろうとしてますよ』
と今にも執事よろしく言い出しそうだ。
でも、課長も花田さんも、口に出して、此処に来いって言ってくれないしーっ。
行きづらいじゃないですかっ、と思っていると、
「沢田さん、あっち空いてるよ」
と後ろから誰かが声をかけてきた。
誰か。
いや、振り返らなくてもわかっている。
羽村だ。
「あ〜、羽村さん、こんにちは」
とさっき会ったのに、動揺して、よくわからない返事をしてしまう。



