課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「いやですよ~。
 そんなことの片棒担ぐの」

「じゃあ、あることないこと課長に言うよ」

「いや、あの人、信じないと思います」

「どうして?」

「……勘がいいから?」
と自分でも何故なのかわからず、小首を傾げる。

「それにつきあってるわけでもないし、本当に」
と言うと、

「真湖りんはおめでたいねえ」
と言ってくる。

「少なくとも、課長はその気だよ。
 そうでなきゃ、わざわざ車で毎日送り迎えしないって。

 社内恋愛なんて、破局したときに困るから、みんな一応、内緒にしてるじゃない。
 それなのに、あんなにオープンに送り迎えしてるってことは、君と結婚する気なんでしょ?」

「いやー。
 そんなことは……」

 じゃあさ、と羽村が顔を近づけ、言ってきたので、腕をつかまれたまま、身を引いたが、危うく階段から落ちそうになる。

 なんとか踏みとどまると、羽村が言った。

「課長が君とはつきあってないって言い張るのなら。
 課長の気持ちを確かめるためにも、僕とつきあってることにしようよ」

「ええっ?」

「そうだね。
 課長が知らないだけで、ずっと僕とつきあってたとか言ってみたら?」