課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 真湖は王様ゲームに負けていないわけではない。

 人の言うところの、負けだが、美味しいクジに当たったときには、それを欲しい人に譲っているだけだ。

 あのときも、羽村を好きな子が側に居たから、そっと譲ったんだったのだが。

 まさか、本人が見ていたとは。

「やったあ、沢田さんだと思ったのに。
 ズルはいけないよね、真湖りん」
と威圧的に見下ろして言う。

 何故みんな、真湖りんと。

 それも、この人の場合、怒ったときに、真湖りんと言っているような。

「領に言うよ。
 領は遊びにはうるさいから、そういうズルは許さないよ」

 いや、だから、そこで、三上さんに言いつけるとかどうなんですか。

 貴方がたは、一体、仲がいいんですか、悪いんですか、と思ったが。

 まあ、仲がいいだけに、恨みも深いのだろう。

「あのとき、キスしてたら、なにかそこから発展して。
 僕とつきあってたかもしれないじゃない」

 じゃあ、羽村さん、そのとき、キスした子とつきあう展開になったんですか? と突っ込みたかったが、今、余計な口を挟む勇気はなかった。

 羽村の目が怖いからだ。

 羽村は真湖の腕を握る手に力を込めてくる。

「領の前だけでいいから、課長に隠れて、つきあってるふりをしてよね」