エレベーターで羽村が苦笑する。
「大変だね、沢田さんも」
「え?」
「ああやって、いつも彼氏に見張られてるのってどう?」
目の前じゃん、と言ってくる。
「いやあの、彼氏じゃないんですけど。
……言いませんでしたっけ?」
と片目で睨むようにして言うと、聞いたけどさ、と笑っている。
「領が君に言い寄ってるみたいだから、やっぱり、彼氏持ちなんだろうと思って。
じゃあ、五嶋課長かな、と思ったんだ」
「いやあの、三上さんに言い寄られてませんし。
なんで、三上さんが私に言い寄ってたら、彼氏持ちなんですか」
と言いながらも、さっきの三上の話が頭を掠めていた。
羽村は笑顔のまま言う。
「だって、あいつ、誰かの彼女じゃないと好きになれない奴だから」
「ほんとだったんですか、その話」
と苦笑いして言った。
「どういう性癖なのかな。
落ちそうにないものを落とすのが好きなのかな。
だったら、君なんて、プレミアム的な価値があるよね。
あの五嶋課長の彼女だなんて」



