課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 それがどうした、とあの氷のような目と突き放した口調で言われそうだ。

 いや、電話だから、目は見えないはずなのだが、電話越しにでも、あの視線には射られそうな気がする。

 ……あの人と旅行になんか行って大丈夫かな、と改めて思った。

 だが、他に行くメンバーも居ないので、少し迷って、ショートメールを送ってみた。

 メールアドレスは登録されてなかったし、プライベードな時間に迂闊に電話などしようものなら、殺されそうな気がしたからだ。

 本屋で話しかけただけで、威嚇されたからな。

 ショートメールなら、読んで鼻で笑って、そのまま返さないことも出来るだろうし、と思って、
『課長、鞄、どんなの持って行きますか?』
と入れてみた。

 明日会社で訊けばいいようなものだが、誰かに聞かれないとも限らない。

 よし、と打ち終わって、荷物は結局、そのままにして、風呂に入った。

 長風呂なのだが、出て来ても、返事は来てなかった。

 鼻で笑って、返してこなくても、直接電話で攻撃を受けるよりはいいと思っていたはずなのに、いざ返ってこないとムカつく。

 おのれ~、と思いながら、スマホをソファに叩きつけた。