課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


「沢田さん」

 何故、どうやっても、最初の文字がずれてくんだ、と真湖が古いワープロソフトと格闘していると、誰かが自分を呼んだ。

「えっ? はいっ」
と慌てて振り返る。

 羽村が白紙の総務に備品を請求する伝票を手に立っていた。

「ごめん。
 これと同じのあるかな?」
とファイルを見せてくる。

 かなり古いもののようで、色褪せていた。

「うわ、ちょっとわかんないですねえ」
と言うと、

「いや、うちの課長がさー、細かい人で。

 見た目全部同じファイルとかで並んでないと駄目な人なんだよね」
と言ってくる。

 細かい課長なら此処にも居るが、と思いながら、ちょっと見せてください、とそれを受け取る。

 品番を確認した。

「もし、ないようでしたら、メーカーに問い合わせてみますが」

 あんまり期待できないかもな、と思う。

 確かリニューアル版が出ているはずだ。

 他の部署にはそれを渡している気がする。