課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 大丈夫ですか?
 悪い上司にいじめられたりしませんでしたか? と思ったのだ。

 ……まあ、私にとっての、悪い上司はこの人だがな、とも思ったが。

 雅喜は小銭を押し付け合っている二人を見、
「どうした三上に食券で買われたのか」
と言ってくる。

 さっき、社食で食券を買ってもらっているのを見ていたのだろう。

 ええ。
 私の代金は、旅行代から食券代に大暴落ですよ、と思っていた。

 結局、三上はお金を受け取らず、
「その代わり、また、三人で釣りに行きましょう」
と爽やかに言って去って行った。

 さっき、旅行に連れてくからキスさせろと言ったことなど、みじんも感じさせずに。

 実はひどく悪い男なのか。

 それとも、本気で悪気がないのか。

 後者のようだな。

 より怖い人だ、と思いながら見送っていると、同じように彼を見ていた雅喜が、ぼそりと言った。

「あいつはお前に気があるな」

「ありませんよ」
と言うと、

「即答だな。
 なにがあった」
と言われる。

 ……もうやだなあ、この人、と思いながら聞いていた。