課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 三上は、途中で、電話が入ったとかで、呼ばれて、下に下りていった。

 ……なんだったんだろうな、さっきの話は、と思っていると、
「浮気はよくないよ、真湖りん」
と聞こえてきた。

 振り向くと、花田が立っていた。

「煙草吸おうと思ったのに、今日は屋上人が多いね」
と強い風に目を細めながら、言う。

「そこの角辺りなら、外に風流れて行くから大丈夫だと思いますよ」
と言うと、うん、とは言うが、花田は煙草は持ったまま吸わなかった。

 移動もしない。

「真湖りん、浮気しないでやってね」
と重ねて言ってくる。

「しませんよ、浮気なんてー。
 っていうか、誰とも付き合ってないのに、どうやって浮気すんですか」
と言うと、

「へー、毎朝、雅喜に乗せてきてもらってるのに?」
と言う。

 そういえば、課長が居ないな、と思った。

 さっきは、花田さんと一緒に社食に居たのに、と辺りを視線で探した。

 花田が察したように言う。

「雅喜はお偉いさんたちに呼ばれていっちゃったよ。
 ほんとよくやってるよねえ」
と同情的に言う。