食後、ちょっと風の強い屋上に上がった。
三上の課の女子社員が、家を買ったというので、屋上から、みんなで、それを眺めていたのだ。
「結構会社に近いじゃないですか。
いいなあ。
でも、この辺り、高いですよね」
と礼子が言っている。
確か、ご主人もこの会社の人間で、社内恋愛のはずだった。
みんなが将来に備えてか、ローンは幾らかとか、土地はすぐに見つかったかとか、次々彼女に質問していた。
風で目が乾いたので、真湖は少し風の当たらない位置に行き、それを見ていた。
何故か三上はみんなとは離れ、真湖の側に居た。
真湖は忘れないよう、自分への確認の意味も込めて、彼に言う。
「下に下りたら、すぐにお金、返しますね」
あのまま引きずられて行ったので、結局、三上に食券を買ってもらったのだ。
「いいよ、別に。
それとも、旅行じゃなくても、食券でもキスしてくれる?」
と三上は冗談まじりに言ってくる。
いやいや、それは、と笑っていると、三上は何故か突然、俯き、溜息をついた。
「ああ、悪い癖だ……」
と言い出す。
手すりにすがり、さっきみんなが見ていた住宅街を見ながら、
「俺、人の彼女が好きなんだよね」
と告白してくる。
……なんだろう。
駄目な人だ。



