課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「でも、さすが課長ね。
 キスしたお詫びに旅行に連れてってくれるとは。

 いいなあ。
 私も課長にキスされたいわ」
と礼子が言ったそのとき、

「そうですよ。
 っていうか、課長とキスなんて、こっちが旅行奢ってもいいくらいですよ、真湖さん」
と言う声がした。

 げ。

 ゾロゾロと下のフロアの子と三上が下から現れる。

 なんで此処に居るっ、と思ったが、そろそろ昼休みだ。

 混んだエレベーターに乗り損ねた連中が階段を上がってきたらしい。

「課長、豪勢だなあ。
 旅行だなんて」
と三上が言う。

 ひいっ。

「みんな、あのー……」
と揉み手しながら、不気味な愛想笑いを浮かべて呼びかけると、後輩の子に、

「やだなあ、真湖さん。
 いちいち、そんなこと言って歩きませんよ。

 っていうか、課長と真湖さんのことは、もう、みんな結構知ってるし。

 今更言って回ったところで、たいした面白みもないですからね」
と切り捨てられる。