課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「キスをだよ」
と言いながら、雅喜は眞子の腰の側に手をつき、口づけてきた。

 真湖は手探りで、その場にあった雅喜の本を掴む。

 ハードカバーだ。

 離れた雅喜が言ってくる。

「……今夜はそれで撲殺する気か」

 いやいやいや、前も殺してないじゃないですか、と思った。

「なんでこんなことするんですかっ」
と本を構えたまま、真湖は問う。

 雅喜は少し考えてから言った。

「……酔ってるから?」

「だから……、話が合うからとか酔ってるからとか、狂犬ですか、貴方は」

「狂犬が何日も指咥えて見てると思うのか」

「でも、課長は私のこと、なんとも思ってないんでしょう?」

「三上が言ってなかったか。
 気に入らなかったら、家には入れない」

 特に俺はな、と言う。

 ひょいとお姫様抱っこをされた。

 うわっ、ほんとにこの人、軽くするな、と思った。

 浩ちゃんみたいな人がすると、ああ、やっぱりって感じだけど。

 課長だと意外というか。