部屋で本を読んでいた雅喜は、もう引き上げたのか、根性なしめ、と思っていた。
ていうか、今、舌打ちしなかったか……?
真湖の部屋が、しんとなったので、仕方なく本の続きを読んでいると、また、バンッとドアの開く音がした。
またなにか思いついて出て来たようだ。
「課長っ。
瓶が割れてないし、課長が死んでないってことは、殴ろうとしただけで、殴ったわけじゃないじゃないですかっ。
なんで、そんなに怒られないといけないんですかっ」
いや、お前。
殴るときは、殺すつもりで殴る気か、と思った。
しかし、こいつは、そこで考えてみないのだろうか。
そうだ。
お前は結局、俺を殴ってはいない。
それがなにを意味しているのか。
と思ったが、考える前に、行動してしまうらしい真湖は、こちらの返事がないので、また、すぐに部屋へと戻っていった。
……気の短い奴だ。
しかし、十分もしないうちに、また、なにを思いついたのか、戻ってきた。
ついていたらしい廊下の電気を切る音がする。
本格的に寝るのか? と思ったが、その場から動く気配がない。
そのうち、また、パチリと電気をつける音がした。



