課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 自分は三上の料理の腕に感心して、ぼんやりしていたが、雅喜がぼんやりしていたとは思えない。

 三上が、自分と雅喜のことを一家族単位で語っているときに、何故、なにも否定しなかったのだろうな、と思った。

「あと、真湖りん、今日、課長と同じシャンプーの匂いがするから」
と言われて、真湖は慌てて頭を押さえた。

「女子にしては珍しい香りだから、すぐわかったよ」
と言われる。

「……沢田」

「すみません。
 私、トラベル用使ってたんですけど、もう切らしちゃってて」

 ちょっと課長の借りちゃいました、と言うと、
「真湖りん、ざっくりだね〜」
と三上に笑われた。

「男が女のシャンプー借りることはあるけど、普通、逆はないよ。
 髪痛まない?」

「いや、まあ、毎日じゃないからいっかーって」

「……さっき、気のせいかな、と思ったんだが」
と雅喜が言う。

 釣り竿を後ろから投げてくれたときのことだろう。

 自分も同じシャンプーだから、自分の匂いだと思ったのに違いない。