課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「そうなんですよー。
 こっちは、この人、ほんとに私のこと、なんとも思ってないんだなーと思って、ちょっと腹立つんですけど」
とつられて、つい、言ってしまったが、三上は、

「いや、俺もあんな風にしてみてー、とか思うよ、沢田さん」
と言ってくる。

「あれっ? 三上さんもさらっとやりそうなんですけど」
と言うと、

「いやあ、内心、ばくばくしてるんだよ、そういうとき。
 でも、課長みたいに、さらっとやった方が格好いいからさ、頑張ってるの」
と笑って言う。

「課長は、お姫様抱っこも、さらっとやってくれるんでしょ?
 どういうときするの?」

「脚立から落ちたときですね」

「……そう。
 他には?」

 なんだそりゃ、と苦笑いをして、三上は訊いてくる。

 他には……。

 あるような気がするのだが、どうにも記憶がない、と思いながら、ちらと雅喜を見た。

 雅喜は、こちらの視線は受け流し、
「沢田は俺よりお前か羽村にやって欲しいようだから、あとでやってやれ」
と気ない声で言ってくる。