課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 そうこう言っているうちに、立派な刺身が出来上がり、滅多に使われないキッチンで、三上がカレイをカラリと上げてくれた。

「はい、レモンかけてすぐ食べてー」
と二人に言う。

「美味しいな」
「美味しいです」

「なんだろう。
 子供にお菓子あげたときみたいにピュアに喜ばれて、ちょっと嬉しくなってきた」
と三上は呟いていた。

「ところで、米はあるの?」
と三上は真湖に訊くが、真湖ではなく、雅喜が答えた。

「炊いてないが、ある」

「冷凍庫に炊いたお米があったりとか」

 二人は同時に首を振る。

「……本当に困った人たちだね」
と言いながら、米を研ごうとするので、

「買ってきましょうか、コンビニで」
と言うと、飾りと化していた棚の電気釜を叩かれる。

「炊いて、真湖りん。
 この立派な厚釜っ」

 ほんと使わないのに、無駄に立派なキッチン家電があるよなーと思っていた。

 余計な手出しをしても、邪魔になりそうなので、雅喜と二人、カウンターから、三上の仕事を眺めていた。

「手際いいですねー、三上さん」
「お前とは大違いだな」