課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 この家のキッチンはあまり使わないので、美しい。

 そこで、二人が釣ってきた魚をさばくのを真湖は呑気にカウンターから眺めていた。

「わー、すごいですねー」
と言うと、雅喜は、

「案の定、さばけないんだな」
と言う。

「切り身しか買わないんだろう?」

「いやあ、私が行くとこ、頼んだら、お魚屋さんがさばいてくれるんで」
と言うと、

「駄目な嫁ですね」
と三上が笑う。

「なに言ってんですか、三上さん。
 いまどき、女だから、料理ができなきゃってこともないですよ。

 それに、偉そうに言ってるけど、課長もなんにもできませんよ。

 今、魚がさばけることにびっくりしたくらいです」

「あの……二人とも料理しなかったら、誰がするの? この家」

 雅喜と顔を見合わせ、
「レストランの人間?」
「お弁当屋さん?」
と言うと、

「……この家の人間は、サバイバルな状況になったら、確実に飢えて死ぬよね」
と言った。