課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「いや、そんな恥ずかしい」
と言うと、
「俺だと恥ずかしくないのか」
と訊いてくる。

「いや、なんかこう、されて自然な感じがするので。
 さらっとするじゃないですか、課長」

「あの……俺、全部聞いてますけど、此処で」
 二人とも、存在忘れないで、と三上は言ってくる。

「三上さんって、いつもは存在感あるけど、釣りしてるときはないですよね」
と言うと、爺さんみたいで? と三上は自分で笑う。

 確かに、釣りをしているときの三上は、ひなたぼっこをしているお年寄りのように静かだ。

「いや、太公望みたいになにかを淡々と狙っているのかもしれん」
と雅喜が言い出す。

 ま、釣りで爺さんといえば、太公望だが。

 此処にはなにも狙うものはないようだが、と真湖は思った。