課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


 祝日の日の朝早くから、真湖たちは指定された防波堤に向かった。

 ……こんなに人居るんだ?

 休みのせいもあってか、防波堤の近くには車がたくさん止めてあって、家族連れも結構居る。

「あっち行きましょう」
と朝っぱらから爽やかな三上は、車から離れたあまり人気のない方へ向かった。

 子供に軽く釣らせてやろうという感じの家族連れは此処までは来ないので静かだった。

 案の定、ほとんど会話もなく、ぼんやり二人は釣っている。

 真湖も一応、釣り糸をたらしてはいるが、やはり、あのときのあれは、ビギナーズラックだったのか、全然かからない。

 眠い、と思っていると、急に二人が話し始めた。

 三上が雅喜の釣り竿を褒めたらしい。

「これはこいつが引き当てたようなもんだ」
と雅喜が真湖を見る。

 それは、あの釣り大会の釣り竿だった。

 カップル限定、なところは省いて、二人で釣り大会で優勝して貰った、という話を雅喜はしていた。

「へえ。
 じゃあ、沢田さんは、勝利の女神様ですね」
と言う三上の言葉に、雅喜は、
「いや、女神とかいうガラじゃないな」
と大真面目に答えていた。

 ……蹴り落としてやろうかな。

 ライフジャケットも着ていることだし、と本気で思った。