課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


 朝、車の中で真湖は呟いた。

「寝ぼけて撲殺、とか。
 酔って撲殺、とか。

 往往にしてあるようですが」

「ないぞ」
とすぐさま、雅喜に言われた。

 ……往往にはないな。

 さっき捨てたゴミ袋の中で輝いていた金色の瓶を思い出しながら、真湖は問う。

「私はなんで、課長を撲殺しようとしたんでしょうか」

「何故、撲殺される側の人間に訊く。
 犯人であるお前の胸に訊いてみろ。

 そんなことより」

 そんなことよりなんだ……?

「今日、行きたい店があるから、ちょっと付き合え」

「何処行くんですか?」

 昨日買い物に出たのに、何故、買わなかった、と思いながら見ると、
「いや、迷ったんだが、やっぱり新しいのが欲しいと思って」
と言う。

 釣具屋に行くようだった。

「なんだかんだで、楽しみにしてますね、三上さんとの釣り」
と笑うと、雅喜は言い訳のように言う。

「……前から欲しかったんだ。
 ついでに買いに行くだけだ」

 はいはい、とそんな雅喜の言葉を笑って流した。