課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 美味しく寿司をいただいて、代行を呼んで外に出る。

 暗がりに、かつて住んでいたアパートが見えた。

 ……見事に焼け落ちてるな。

 家々の屋根の向こうに、焼けたままのそのアパートを見上げたとき、もう此処に居た頃の生活には戻れないんだなあ、と実感した。

 そのとき、車のライトがこちらに近づいた。

 代行が来たようだ。

 すぐ来ると言ったが、本当に早かったな、と思っていると、先に車に向かった雅喜が振り返り、
「ほら、早くしろ。
 帰るぞ」
と言う。

 その言葉に、思わず微笑むと、なんだ? と言われる。

「いえ……」

 家もなく、放り出されて、本当なら、落ち込んでるところだろうにな、と思ったのだ。

 今は帰る場所がある。

 ……まあ、毎度毎度、あと三日だと言われてはいるが。

「代行代、私が出しますよ」
と乗りながら言うと、

「出さなくていい」
といつもの素っ気ない口調で言われた。

 ちょっと笑って、
「そうですか。
 ありがとうございます」
と言うと、どうした? という目で見られる。