お姫様抱っこねえ。
記憶がないのは、あのカラオケの日と昨日だけだけど。
カラオケで抱っこはないだろうし。
路上でもないだろうし、と腕を組み、考え込んでいると、
「あの」
と声がかかった。
「書類書きあがったんだけど?」
と三上に言われた。
「え、ああ。
すみません」
提出された書類に不備があったので、書き直してもらっていたのだ。
こういう仕事、嫌なんだよな〜、と思う。
大抵、
『いいじゃない、これくらい。
そっちで、ちょちょっと直しておいてよ。
出来るまで、待ってるの?
暇だね、総務って』
こっちは忙しんだよ、と言わんばかりに言われるからだ。
いや、あの、貴方がたはその忙しいなにかがお仕事なのかもしれないですが。
我々はこれが仕事なんですが、と思う。
その点、三上は文句も言わずに直してくれた。
「ありがとうございます」
と受け取り、書類を確認する。
綺麗な字だな。
私の悪筆とは大違いだ。



