課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


 散々しゃべって、お弁当を食べ終わり、それぞれがお手洗いに行ったり、ロッカーに行ったりしていた。

 真湖は、ちょっと下の自動販売機に行こうと、エレベーターを待っていた。

 すると、何処へ行くのか、ちょうど雅喜がやってきた。

 真湖の顔を見て、
「どうした?」
と言う。

 どうも渋い顔をしていたらしい。

「いやあ、思い出そうとしてたんですよ。
 課長がいつか、お姫様抱っこをしてくれた気がして。

 倉庫以外で」

 こんなところで、そんなことをべらべらしゃべるな、と怒られるかと思ったのだが、雅喜は、
「……お姫様抱っこってなんだ」
と訊いてきた。

 まず、そこからか。

「こうやって、ひょい、と抱きかかえることですよ」
と真湖は自ら手の動きをやってみせる。

 誰か見ていたら、この二人、こんなところで、なにやってんだ、と思われていたことだろう。

 ああ、なるほど、と雅喜は真面目な顔で頷く。

「で、なんでそれがお姫様抱っこなんだ?」

「な……、なんでなんでしょうね、そういえば」

 すごい盲点を突かれてしまい、話が止まる。