課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「なんだかわかんないけど、怒っているのなら言ってください。
 私にご不満があるのなら、出て行きます」
と言うと、

「そうじゃないんだ」
と言う。

「課長。
 なにかお悩み事でもあるのなら、私に言ってください」

「お前に言ってなにかの足しになるとは思えん」

 おや?
 ちょっといつもの調子が出てきたかな、と思った。

「あのー、なんだかわかりませんが、一人で思索に耽りたければ、私は出て行きますよ」
と言うと、

「そうだな、出て行け」
と言う。

「わかりました」
とあっさり言うと、こちらを振り向き、

「わかりましたじゃないだろう。
 何処へ行く気だっ」
と文句を言ってくる。

 いや、今、出てけって言ったの、貴方ですよね? と思って、相変わらず、勝手な男を見た。

「出て行かなくていい。
 ちょっと迷ってるだけだ」

「なにをですか?」
と言ってみたが、また返事がない。

 代わりに違う言葉が返ってきた。

「迷っていると言えば、お前、昨日、宮島か伊勢に行きたいと言ったのを覚えているか?」