課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜





 一度行ってしまったので、最早、雅喜の車に乗らない理由もなく、一緒に車で出勤した。

 フロントガラスから入り込む日は眩しく、真湖は瞬きしながら、ちょっと後部座席に乗りたいかも、と思っていた。

 日焼けするからだ。

 だが、そんなことをすれば、あの目で見られて、
『お前は何処の社長だ』
と言い捨てられることだろうが。

 助手席のサンバイザーを下ろしてみたが、あまり効果はない。

 手で眩しい目許をかばいながら、
「今日はいい天気ですねー。
 昨日もなんだかんだで、降らずに済んだけど」
と呟くように言ってみた。

「あ、今日、100均行くんでしたっけ?
 実は私も買いたいものがあったんですよー」

 ……返事がない。

 こう見えて雅喜は、結構しゃべるのだが、今日はほとんど言葉を発していなかった。

「もう〜、なんなんですか、課長。
 なにか機嫌が悪いんですか?

 昨日なにか寿司を食べ損ねたとか?」

 私とお義母さんの話すのがうるさくて、注文が通らなかったとか。

 この人、そういうとき、挫折して諦めそうだ、と思いながら、と訊いてみたが、違う、と言う。