課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 真湖は目を閉じているが、まだ意識はあるようだった。

「寝相も悪いし。
 男友達と旅行になんぞ行かない方がいいぞ」

「いや、普通、なんでもない男の人と、二人で旅行に行きませんから」

「俺とは行っただろうが」

「課長は……

 課長はえーと。

 そうだ。
 課長とは、キスしたじゃないですか」

「覚えてたのか。
 もう記憶の彼方にすっ飛ばしてるのかと思ってたぞ」

「忘れるわけないじゃないですか。
 初めてだったのに〜」

 初めて初めて言うな。
 罪の意識にさいなまされるから、と思った。

「忘れてませんよ〜」
と真湖は繰り返す。

「だから、この人、どうしてあんなことしたんだろうって思ってます。
 いつもの態度と照らし合わせると、ほんっとーに不思議だから。

 ねえ、課長。
 課長はなんで、私にキスしたんですか?」