課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 


 なんだろうな、この酔っ払い、と思いながら、雅喜はまだ、金の瓶を抱えていた。

 スパークリングだから、開けたらもう呑んだ方がいいのだが、これ以上酔われると厄介だ。

 真湖が引っ張っているので、置くに置かれず、冷たい瓶をつかんだまま、人が人をうっかり撲殺するのはこんなときだな、とまだ、ぐだぐだ言っている真湖を見た。

 真湖と響子はかなり呑んでいたが、自分はあまり呑んでいなかった。

 だから、今日は酔ってはいない。

「俺が来ないと、なにか問題あるのか」
と冷静に訊いてみた。

「ないです。

 でも、課長っ。
 お近くにお越しの際は、ぜひ、お立ち寄りくださいっ」

 真湖は手を離し、頭を下げて見せる。

「なに年賀状の文句みたいなこと言ってんだ」

 頭を下げた真湖は、そのまま額を背もたれにぶつけ、今にも寝そうになっていた。

 念願の瓶を置き、雅喜は笑う。

「お前、呑むの好きなわりには弱いな。
 ……あんまり男と呑みに行くなよ」

 少しやさしい声で言う。

 後半は、友人として、上司としての忠告だった。

 まあ、一歩会社を出たら、上司も部下もないそうだが。

 ……どんな部下だ。