課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「じゃ、課長はなんで私のことにいちいち口を出すんですか?」

「それを言うなら、お前も、いちいち、俺の意見を聞くことないだろう。
 俺がなんと言おうと、お前が借りる、お前の家なんだから」

 真湖は、はた、と気づいて、手を叩く。

「そうですよっ。
 よく考えたら、課長の言うことなんて聞く必要ないんですよっ。

 職場を出たら、部下でも上司でもないんですから」

「……そんなことはないぞ」

 ロクでもない部下だな、と言う。

「わかりました。
 課長の言うことはもう聞きませんっ」
と真湖はひとり納得した。

「そうかそうか」

 酔っ払いの言うことなど、どうでもいいと言うように、雅喜は適当に返事をしてくる。

 これ以上、呑ませては駄目だと思ったのか、酒をしまい始めた。

「待ってください、課長っ」
と真湖は背広の裾を引っ張った。

「もう呑まさないぞっ」
と雅喜は棚にそれを置こうとする。