お手洗いに行ったのか、雅喜は席を立っていた。
「あー、美味しかったですっ」
と言うと、響子は笑って言う。
「そう?
いつもこうして、食べさせてくれるのなら、この家に嫁に来てもいいかなって思うくらい?」
「おかーさんは、超能力者ですかっ」
み、認めちゃっていいんですか? という顔を横の若い板前さんがしていたが、いや、今の台詞は他のところが引っかかるな、と思っていた。
この家に嫁に来てもいいかなって思うくらい?
響子の顔を見ると、
「わかってたわよ。
貴女みたいな人を捕まえてくる甲斐性は雅喜にはないって」
と言い出す。
「どうせ、あのなんだかわからない強引さに押されて居ただけでしょう」
「お義母さん……」
「でも――
私は貴女とお酒が呑みたいわ」
そう微笑む響子の、家事ひとつしたことなさそうな真っ白な手を取り、真湖は言った。
「私もです、お義母さん。
あの、他に息子さんは居ませんか?」
「……おい」
と雅喜が後ろに立っていた。



