課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜





 タクシーで着いた寿司屋は特に看板も出してはいないようだった。

 うちの近くにもこういう店あるけど、値段も書いてないって噂だから、入ったことなかったなーと思う。

 響子はもう先に来ていて、カウンターで店主と話していた。

 うわっ。
 朝見た着物とまた違う〜、と思っていると、響子はこちらを振り返り、
「あら、来たわ。
 これがうちの嫁よ」
と店主に紹介し始める。

 違いますよっ、と言いたかったのだが、カウンターのネタケースの中のいきの良さそうなネタを見て、真湖は黙った。

 雅喜も特に反論はしない。

 響子、真湖、雅喜の並びでカウンター席に着いた。

 お任せにしたので、勝手に寿司はどんどん出てくる。

 酒も響子の好みでどんどん出てくる。

 幸せだ。

 今、いっそ、この家に嫁に行ってしまいたい。

 雅喜とも食の好みが合うが、響子とも合う。

 特に酒の好みが。

 ああ、塩でいただく穴子が絶品だっ!

 ノドグロの焼霜もいいっ。

 すっかりいい気持ちで、響子と二人、盛り上がる。