課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「決めたか、沢田」
「はい」

 もうなんでもいいです、と思いながら、最初に着た服と、もう一着、目についたニットを店員さんに渡すと、雅喜が金を払おうとする。

「いいですってばー」
と言ったのだが、

「買ってくれるって言うときは、買ってもらっておけばいいですよ。
 結婚したら、そんなのもうないですから」
と言ってくる店員さんの薬指には指輪があった。

 まあ、課長と結婚するわけではないですが、此処で更に駄々を捏ねるのもな、と思い、とりあえず、素直に出してもらうことにした。

 その服が入った袋もさっきの店で自分が買った服の袋もさっと自然に持ってくれる。

 あのお義母さんの教育かな、と思った。