「課長、これ、似合いますか?」
「似合うんじゃないか?」
「あのー……せめて、一瞬でもこっちを見てから、言ってくれませんかね?」
真湖とそう変わらない時間に、雅喜は店にやってきた。
一応、着て見せているのだが、雅喜は、コーディネイトしてある服とともに飾ってあった、女性雑誌を物珍しげに読んでいる。
この服が載っています、というので置いてあるのだが、雅喜は何故か、全然違うページを見ているようだった。
……その雑誌に貴方の興味を引くものがありますかね?
新しい服を着て見せている私よりもっ、と喧嘩腰に思う。
お前、なにしに来た、と思いながら、一瞬でも見ろと訴えると、雅喜は雑誌から顔を上げて言う。
「確認する必要はない。
お前はだいたいなにを着ても似合うからな。
顔も悪くないし、スタイルも悪くない。
色が白い上に、奇抜な髪の色をしているわけでもないから、似合わない色もない」
見る必要はないだろ、と素っ気なく言ってくる。
「まあ、ラブラブですね」
と店員さんが言うのを雅喜は聞いていない。
いや、店員さん、ラブラブな男が、見る必要はないとか言い捨てますかね……?



