お茶を配ったあとで、真湖は備品を持って、エレベーターの前に立っていた。
ちょうど雅喜がやってくる。
エレベーターに乗るようだ。
無言で顔を見ていると、
「なんだ?」
と言われた。
「あのー、課長、もしや私のことがお好きですか?」
「そんなわけあるか」
すぐさま、あの目で見て言われる。
「ですよねー」
と言う真湖は雅喜の後について、エレベーターに乗った。
他には誰も乗っていなかった。
「……なに嬉しそうなんだ」
「いえいえ」
やっぱりそうか。
課長が私を好きとかないもんね。
そんなこと言われたら、調子狂っちゃうし、と思っていると、
「今日は何時に終わるんだ?」
と訊かれる。
「今日は早いです。
私、いつも行く店、何軒か回ってますから。
もし、間に合えば来てください」
と言うと、わかった、と言う。
じゃあ、と手を振り、真湖はエレベーターを降りた。



