課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜





 指定された不動産屋に行くと、アパートはすぐ近くなので、歩いていけると言う。

 愛想のいい禿げたオヤジに案内されながら、そのアパートに向かった。

 少し褪せた緑色の壁。

 ちょっと凝った窓の形。

 アパートの名前が書かれた塀は煉瓦造でお洒落な感じだ。

 真湖は気に入ったらしく、
「可愛いですね。
 安いし」
と言っていた。

「そうなんですよ。
 女性の方は、見てすぐ決められる方が多いです。

 安いのは、少し古いからで。

 でも、水まわりは今回、リフォームしましたから」
と不動産屋は言ってくる。

「入居者は女性の方ばかりなんですか?」

 だったら、安心ですね、と真湖は微笑んだ。

 空いているのは二階の角部屋だった。

「角の部屋は少し広くて、窓も他より、ひとつ多いんですよ」
と不動産屋がセールスポイントをもれなく言ってくる。

 へー、と真湖は玄関から部屋の中を眺めている。

 感じは悪くない。

 上がって確認すると、水周りも不動産屋が言った通り、すべて新しくなっている。

「あ、トイレが全自動」

 真湖が嬉しそうに笑った。

 ……まずいな。
 このままだと決まりそうだ、と思ったとき、不動産屋がちらとこちらを見て言った。