課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「女の人向きの可愛らしい感じのアパートに空き部屋があるらしいんです。

 浩ちゃんのおばさんが散歩の途中に、いつもそこ通るらしくて。

 夜はお義母さまと約束があるから、お昼休みに行ってみます」
と言うと、

「……うちの親の前に俺だろうが」
と言われる。

「あっ、そうでしたね。
 でも、あの、買うのは自分で買いますからね、服」
と言うと、

「たまには素直に奢られろ。
 お前は、すぐに奢り返そうとしてうざい」
とあの目で見て言われた。

「でも……」

「釣り大会で頑張ってくれたご褒美だ」
と言うので、あのときの高揚感を思い出した。

 釣り、ちょっと楽しいかも、とあのときは思ったのだ。

「それにしても、焼けたの、課長のマンションじゃなくてよかったですよね。
 あの釣り竿焼けたら、困りますもんね」

「縁起でもないこと言うな」
とつれなく言う雅喜の、真湖りんを思い出し、笑ってしまう。

「……なにがおかしい」

「いえ、なんでも」

 職場で思い出さないようにしよう、と思っているうちに、会社に着いてしまった。