課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「いや、車は一人一台と法律で決めませんか?」

 あまりその辺りで見ないような車がずらっと並んでいる。

 どう考えても、この家の住人はこんなに居ないし、従業員が乗ってくるような車でもない。

 いや、あのシェフの人以外に従業員の人って居るのか知らないが、あのお母さんが、自分でその他の家事をやっているようには見えなかった。

 明らかにシェフな格好をしたあの人は何者かと思ったのだが。

 近くのレストランの人で、堀田さんというらしい。

「近くに出来たファミリーレストランにのせいで、堀田さんの店の経営が悪化したんだ。

 閉店するかもしれないと聞いて、うちの親が買い取ったんだ。

 味が気に入ってるからって」

 駅に向かう道中、雅喜がそう教えてくれた。

「それまでもよくデリバリーとかしてくれてたし、なくなったら困ると母親が騒いだんだ。

 まあ、昔から家族でよく行ってた店だしな。

 なくなると俺も寂しい」

「そうなんですか」

 子供の雅喜が家族とその店に行くのを楽しみにしてたのかと思うと、なんだか可愛らしくもある。

 ……しかし、その頃から、この目つきだったんだろうかな。

 なにが可笑しい? という目で雅喜が見た。