外に出ると、少し曇り始めていた。
そういえば、さっき、雅喜が折り畳み傘を持っていたな、と思い出す。
雅喜はこちらにもスーツを置いていたようで、ちゃんと昨日とは違う服に着替えていた。
「乗れ」
と電動シャッターを開け、広いガレージの中から雅喜が呼びかけてくる。
「いえ、歩いて駅まで行きます」
と真湖が言うと、顔をしかめた。
「なんでだ」
「だって、誰かに見られたら困るから」
「……じゃあ、駅まで送ってやるから乗れ」
いや、この辺でも見られそうな気がするんですが、とは思ったが、朝っぱらから揉めるのも嫌なので、では、とガレージに入った。
「うう。
厭味な人たちだ」
と声が反響するガレージの中で真湖は呟く。
「なにがだ」
と言いながら、雅喜はいつもの車に乗った。



